人類の発展を共に築き上げた金属、もっともポピュラーな金属「鉄」
鉄はわたしたちの身の回りのあらゆるところで使われている、最もポピュラーな金属元素のひとつで元素番号が26番、元素記号はFeです。
自然界においては、主に土壌、岩石、鉱物中に含有されており、酸素、ケイ素、アルミニウムに次いで4番目に多い地殻元素といわれています。
鉄の起源は古く、石器時代、青銅時代に続き、人類の文明の発展に寄与してきました。
その後の人類の歴史は鉄と共に歩んだ歴史といっても過言ではないでしょう。
原料である鉄鉱石の産出国として2007年まではブラジルが圧倒的に一番でしたが、急激な発展をしている中国がその座を奪って、中国、オーストラリア、ブラジルの順序で多く産出されています。
日本ではそのうち殆どをオーストラリアから輸入しています。
鉄は、純粋な状態であれば、本来硬くてもろい性質を持っています。その理由としては含有している炭素の量が強く影響しており、炭素量が多いほど固くもろくなります。
そこでこの性質をいかしつつ、さまざまな用途に利用できるよう炭素を化合したものを「鋼(はがね)」といいます。
厳密には炭素分が1.8%より少ないものを「鋼」と呼び、それよりも多いものを「銑鉄(せんてつ)」と呼びます。
鋼の性質としては、鉄が本来持っている性質とは対照的に柔らかくて伸びやすい強靭な性質です。
使用用途としては、非常に安価で手に入りやすく、とても加工しやすいという性質もあり、あらゆる工業製品に加工されて使用されています。
炭素をはじめとする合成元素を加えることで、硬度を高くしたり、逆に粘り強くしたりととても使い勝手がいい金属でもあります。
枚挙に暇がありませんが、具体的な使用例をあげると、建築現場の鉄骨や鉄筋、鉄道のレール、自動車部品、産業機械など数多くの使用用途があります。
また、家電や包丁などの刃物などは、わたしたちの身の回りでも日常的に見ることが出来ます。
ちなみに「鉄」というものはわたしたちの体にとってもなくてはならない存在であり、赤血球の中に含まれているヘモグロビンは、鉄イオンを利用して酸素を運搬しているので欠乏してしまうと極度の貧血に陥る可能性があるので注意してください。