A1070TD-H14 - 丸パイプ
AL純度99.7%以上の純アルミ丸管で、加工性、耐食性、溶接性、表面処理性、電気熱伝導性に優れている。
強度が低いため構造材には適さないが、反射性、導電性などの特性を生かして装飾品、各種容器、放熱材などに使用されている。
アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管規格(JIS H4080)
JIS規格に定められたシームレスアルミパイプ(継目無管)の種類
JISのアルミニウム継目無管(シームレス管)規格(JIS H4080)では、押出管と引抜管の2種類について規定されています。
この2種類の管の大きな違いは製造方法によるものですが、下記のような特徴があります。
押出管(TE)とは、ビレットと呼ばれる円筒形(丸棒のような形状)に加工されたアルミニウムの塊を(予め純アルミや各種アルミ合金に成分調整されたもの)、400℃~500℃程度に熱した状態で、押出機により、ダイス呼ばれる金型から押出加工をして製作されたパイプのことです。
ところてんを突くのと原理が似ています。ところてんに相当するのが熱せられたアルミです。ところてんを突く容器の網がダイスに相当します。
ところてんは突く容器の網の目を変えれば太さが変わりますが、押出管も同じ原理で、ダイス(金型)を変えればパイプ径、肉厚を変えることが出来ます。
引抜管(TD)とは、押出管を冷間(常温)で、ダイスと呼ばれる金型の間を通して引き抜く(抽伸)ことにより、パイプの外径、肉厚、内径を小さくする加工を施したパイプのことです。
製作の手順としては、まず製作しようとするサイズより外径が大きく、肉厚の厚い押出管を準備し、スウェージングと呼ばれる管端を絞る作業を行います。
これによりパイプがビール瓶のような形になります。この状態のパイプを、細い側をキャレッジと呼ばれる器具で掴み、ダイスを通して引抜作業を行い製品寸法に仕上げます。
正確にはパイプ内部にプラグ(内径工具)というものを入れておき、ダイス(外径工具)を通して引き抜くことにより、パイプの外径と肉厚を決めています。
ダイスは中央に穴が開いているだけの金型ですので、この穴の径がパイプの外径寸法となります。プラグは引く抜くパイプの中に入れる芯金のようなもので、このプラグ径が内径寸法を決めます。
ダイスとプラグの組み合わせを変えることにより様々な外径、肉厚のパイプに対応することが出来ます。
引抜作業は常温で抽伸油を付けながら行います。
希望サイズになるまで、数回抽伸を行う場合もあります。
押出管と引抜管の主な特徴
製造法の違いについては上述の通りですが、この2種類の管の主な特徴について下記に記載します。
押出管
加工温度が高い。(400℃~500℃位)
外径、肉厚の寸法精度が引抜管に比べ劣る。(1mm~1/10mm程度)
引抜管に比べ、細径、薄肉の管の製作は難しい。
逆に引抜管では対応出来ない、大径管、肉厚管に対応可能。
製作ロットは数100キロからとなり、小ロットでの製作にはあまり向かない。
納期は1.5~3ヶ月。
1回の押出工程により、製品が製作出来る為、低コストで製作出来るメリットがある。
それほど高精度を要求しなければ、低価格の押出管がお勧めです。
市販の一般サイズのアルミ管(A6063製)はほとんどが押出管です。(一部引抜管もあります。)
引抜管
加工は常温で行われる。(冷間加工)
外径、肉厚の寸法精度が押出管に比べて高く、1/100mm程度まで管理出来る。
表面も綺麗に仕上げることが出来る。
径の細い管や非常に薄い管の製作も出来る。
大径管や肉厚の管は対応が難しい。
製作ロットについては、押出管を抽伸することから、1本から製作可能(ダイスが整備されている場合で、サイズによる)で、小ロットにも対応出来る。
納期は15~25日間。サイズの大きいものは60~90日間。
押出管に比べ、短納期で対応出来る。
押出管にさらに抽伸加工を加える為、押出管に比べてコスト高となる。