クロム銅とは
クロム銅とは、銅にクロムを0.4~1.2%添加した析出硬化形の高銅合金を指します。
銅にクロムを添加する事により、銅の持つ特徴である導電性、熱伝導の良さと加工のしやすさを重点的に改良された合金で、1%程度のクロムを含むクロム銅や、少量のカドミウムなどを添加し耐熱性を改善した導電材料などがあります。
銅の加工のしやすさをそのまま併せ持つ合金の為、棒状や板状、インゴッドは勿論、各パーツに合わせた細かい形状まで様々な形に加工されて使用されています。
特徴としては導電性・熱伝導性・耐熱性・耐腐食性に優れており、導電性は数ある合金の中でも特に優れています。
この高い導電性と耐熱性を生かし、主に抵抗溶接用電極に用いられています。
産業用の機械部品から電子機器、自動車、造船の部品まで、加工もしやすく細かい部品から大きい部品まで一貫して生産しやすい合金の為、供給や値段も安定しており比較的手に入りやすい合金です。
例として、シーム溶接用電極輪、各種バックバー角材、シーム溶接機の給電ブッシュや、半導体、液晶用のバッキングプレート、蒸気タービン用及びガスタービン用軸受の裏金にクロム銅は多く使用されています。
高い耐熱性と腐食性から、湿気の多い箇所で使用する機器や、自動車などの外に晒されることが多いパーツとして、また高温にも耐えられる工業用製品の部品としても、多く用いられている合金です。
また、硬度も高く、金属の硬度の指標であるHBM換算された数値を見てみるとHBM255~352程の数値があり、機械構造用炭素鋼に次ぐ硬度がある合金です。
色々な企業で研究・開発が行われている合金の一つで、クロムと銅の他、ジルコニウムなども配合されている新しい種類のクロム銅も誕生しています。
いずれも技術力の向上や企業努力から、従来のクロム銅の価格で、高性能な新種のクロム銅の供給が可能となっています。