燐青銅とは
燐青銅とは銅と錫の合金である青銅の中に脱酸に用いたリンが少し含まれている合金を指します。
溶解鋳造時に銅の中にリンを添加すると、脱酸が行われます。
それによって、溶湯の湯流れが良くなり、鋳造性が向上します。
有害物質を含んでいないので、環境にも優しい合金です。
燐青銅は、ばね性に優れている事、強度が高い事、曲げや絞り加工性が良い事に加え、電気伝導率が高いという特徴を持っている合金です。
また、科学的腐食にも強く耐性摩耗が良い、メッキしやすいと加工もしやすい合金です。
その特徴を生かして各種コネクタに多く使用されている継電器端子であったり、ベアリングフレームであったり、またブレード材などの工業製品の素材に多く用いられています。
青銅自体は古くから用いられている金属ですが、燐青銅の歴史はまだ新しく、19世紀頃、鉄を使用して大型製品の統一規格を作る技術力がまたなかった中で生みだされたとされています。
その後第二次世界大戦後に電子機器の小型化が進む中で、電子機器や工業機器などの部品に多く燐青銅が用いられるようになり、近年より便利で進化した燐青銅が開発され、特に最近では携帯電話やデジタルの家電製品の中に多く使用されるようになりました。
燐青銅のJIS規格の材料記号は、頭文字Cで始まる4桁記号によって決められており、錫と燐の含有量によって分類されています。
燐青銅は、C5050が錫1.0~1.7%でリンは0.15%を下回り、残りは銅となります。
また、C5111が錫3.5~4.5%の場合はリンが0.03~0.35%となり残りはこちらも銅となります。
C5102が錫4.5~5.5%ではリンの値は0.03~0.35%で、C5191が錫5.5~7.0%の時はリンが0.03~0.35%、C5212が錫7.0~9.0%であればリンの値は0.03~0.35%で、どれも残りが銅となっています。
ばね用の燐青銅はC5210が錫7.0~9.0%、リン 0.03~0.35%、残りが銅です。