純チタン2種 - TB340 丸棒
純チタン2種 - 丸棒 センターレス
純チタン2種(TB340)とは、純チタンとしては最も一般的な材料。強度、溶接性、加工性のバランスが良い。
機械的性質
1.比強度が高い
  チタンの比重は鋼・ステンレス鋼の約60%で、構造材料として使用する場合、これら金属材料の半分の重量ですむことになります。
  このため非強度は(引張強さ/比重)が高く、特にチタン合金の非強度は500℃まで実用金属中最高の値を示します。
2.耐力/引張強さの比率が高い
  チタンは引張強度に対して耐力値が高く、特にチタン合金ではその比率が90%以上という高い値を示します。
3.疲労強度がすぐれている
  引張強さに対して疲労強度が極めて高く、疲労比(疲労強度/引張強さ)は0.5~0.6を示します。
  (鋼の疲労比は0.2~0.3)
4.衝撃性質がすぐれている
  工業用チタンは常温よりむしろ低温で靭性を有しております。また、チタン合金も鋼であらわれるような低温における急激な脆化現象を示しません。
機械的性質表
| 組成 (wt.%,合金名)  | 
   熱処理 | 常温における引張性質 | 特長 | 絞り (%)  | 
   ビッカース 硬さ  | 
   比強度 (N/㎜2)  | 
  ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 引張強さ (N/㎜2)  | 
   0.2耐力 (N/㎜2)  | 
   
    伸び  | 
  ||||||
| 
    純チタン JIS1種 JIS2種 JIS3種 JIS4種  | 
   
    
 焼鈍 焼鈍 焼鈍 焼鈍  | 
   
    
 270~410 340~510 480~620 550~750  | 
   
    
 165以上 215以上 345以上 485以上  | 
   
    
 27以上 23以上 18以上 15以上  | 
   
    
 成形性 汎用性の高い 中強度 高強度  | 
   
    
 40以上 40以上 30以上 25以上  | 
   
    
 130 160 200 230  | 
   
    
 60以上 75 105 120.  | 
  
| 
    耐食合金 0.15Pd 0.15Pd 0.15Pd  | 
   
    
 
 
  | 
   
    
 
 
  | 
   
    
 
 
  | 
   
    
 
 
  | 
   
    
 
 
  | 
   
    
 
 
  | 
   
    
 
 
  | 
   
    
 
 
  | 
  
| 
    α合金 
  | 
   焼鈍  | 
   795以上  | 
   760以上  | 
   10以上  | 
   溶接性 耐熱性  | 
   25  | 
   310  | 
   180  | 
  
| 
    α+β合金 6Al-4V  | 
   
    
 焼鈍 焼鈍 焼鈍  | 
   
    
 925以上 890以上 890以上  | 
   
    
 870以上 825以上 825以上  | 
   
    
 10以上 10以上 10以上  | 
    
    
 高加工性 汎用性の高い  | 
   
    
 ― 
 20  | 
   
    
 ― 320  | 
   
    
 ― 200 200  | 
  
| 
    β合金 15V-3Cr-3Sn-3Al 22V-4Al  | 
    
    
 ST  | 
   
    
 640以上  | 
   
    
 540以上  | 
   
    
 10以上  | 
    
    
 冷間加工性  | 
   
    
 ―  | 
    
    
 ―  | 
    
    
 ―  | 
  
物理的性質
1.溶融点は1,668℃で高い(鉄よりやや上)。
2.比重は4.51で軽い(鉄の約60%、アルミニウムの約1.7倍)。
3.熱誇張係数は8.4×10-6/℃で小さい (18-8ステンレス鋼の約半分、アルミニウムの1/3)。
4.熱伝導率は0.041cal/㎝2/sec/℃/㎝で小さい (18-8ステンレス鋼とほぼ同じ)。
5.電気抵抗は55μΩ-㎝で大きい (18-8ステンレス鋼以外の純金属に比べて大きい)。
6.透磁率は1.0001で非磁性体である。
7.結晶構造は変態点(885℃)以下では稠密六方格子で、変態点以上では体心立方格子である。
8.縦弾性係数は10,850kgf/m㎡で小さい。(鉄の約半分、アルミニウムの約1.5倍)。
他金属材料との物性比較
| 項目 | 原子番号 | 原子量 | 比重 | 溶解点(℃) | 熱膨張係数 ( /℃)  | 
   比熱 (cal/gr/℃)  | 
  
|---|---|---|---|---|---|---|
| チタン | 22 | 47.90 | 4.51 | 1,668 | 8.4×10-6 | 0.124 | 
| 鉄 | 26 | 55.85 | 7.9 | 1,530 | 12×10-6 | 0.11 | 
| 18-8ステンレス鋼 (SUS304)  | 
   - | - | 7.9 | 1,400~ 1,420  | 
   17×10-6 | 0.12 | 
| アルミニウム | 13 | 26.97 | 2.7 | 660 | 23×10-6 | 0.21 | 
| アルミニウム合金 | - | - | 2.8 | 476~ 638  | 
   23×10-6 | 0.23 | 
| マグネシウム | 12 | 24.32 | 1.7 | 650 | 25×10-6 | 0.24 | 
| ニッケル | 28 | 58.96 | 8.9 | 1,453 | 15×10-6 | 0.11 | 
| ハステロイ C | - | - | 8.9 | 1,305 | 11.3×10-6 | 0.092 | 
| 銅 | 29 | 63.57 | 8.9 | 1,083 | 17×10-6 | 0.092 | 
耐食性
1.チタンは、表面の安定な酸化皮膜(不動態被膜0)の存在によって、優れた耐食性を発揮します。
2.チタンの耐食性は、溶接、加工、熱処理などの材料履歴により劣化しません。
3.塩酸や硫酸などの非酸化性酸に対しては、濃度・温度条件によっては腐食されますので注意が必要です。
4.苛性ソーダなどのアルカリに対しては、極端な高温・高濃度条件を除いて、十分な耐食性を示します。
5.海水に対する耐食性は、白金に匹敵します。
6.酸素、水素、窒素ガスとの親和力が比較的大きいため、条件(温度や圧力など)によっては使用上注意を要します。
他金属材料との耐食性比較
| 腐食媒 | 組成(%) | 温度(℃) | 耐食性 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| チタン | 18-8 ステンレス  | 
   ハステロイ C | |||
| 塩酸 | 10 30 10 30  | 
   24 24 80 80  | 
   〇 × × ×  | 
   × × ― ―  | 
   ◎ ◎ 〇 △  | 
  
| 硫酸 | 10 50 10 50  | 
   24 24 100 100  | 
   △ × × ×  | 
   ― × ― ―  | 
   ◎ ◎ ◎ ◎  | 
  
| 硝酸 | 10 50 10 50  | 
   24 24 100 100  | 
   ◎ ◎ ◎ ◎  | 
   ◎ ◎ ◎ 〇  | 
   ◎ ― △ ―  | 
  
| 王水 | HCI・HNO 3:1  | 
   24 100  | 
   ◎ 〇  | 
   × ―  | 
   △ ―  | 
  
| クロム酸 | 5 | 24 | ◎ | ― | ◎ | 
| 弗化水素 | 5 | 30 | × | × | △ | 
| 燐酸 | 10(通気) 50(通気) 10(通気) 50(通気)  | 
   24 24 100 100  | 
   〇 △ × ×  | 
   ◎ ◎ ◎ 〇  | 
   ◎ ◎ ◎ ◎  | 
  
| 塩化第二鉄 | 10 30 10 30  | 
   24 24 100 100  | 
   ◎ ◎ ◎ ◎  | 
   × × ― ―  | 
   ◎ ◎ × ×  | 
  
| 塩化第二銅 | 10 30 10 30  | 
   24 24 100 100  | 
   〇 〇 〇 〇  | 
   × × ― ―  | 
   〇 〇 ― ―  | 
  
| 塩化ナトリウム | 10 40 10 40  | 
   24 24 100 100  | 
   ◎ ◎ ◎* ◎*  | 
   〇 〇 〇* 〇*  | 
   〇 〇 〇 〇  | 
  
| 塩化カルシウム | 10 50 10 50  | 
   24 24 100 100  | 
   ◎ ◎ ◎* ◎*  | 
   ◎ 〇 ― ×  | 
   ◎ ◎ ◎ ◎  | 
  
| 塩化アンモニウム | 10 40 10 40  | 
   24 24 100 100  | 
   ◎ ◎ ◎* ◎*  | 
   △ ― ― ―  | 
   ◎ ◎ ◎ ◎  | 
  
| 塩化マグネシウム | 10 40 10 40  | 
   24 24 100 100  | 
   ◎ ◎ ◎* ◎*  | 
   △ 〇 △* ―  | 
   ◎ ◎ ◎ ◎  | 
  
| 硫酸第一鉄 | 10 50 10 50  | 
   24 24 100 100  | 
   ◎ ◎ ◎ ◎  | 
   〇 〇 〇 ―  | 
   〇 〇 〇 〇  | 
  
| アンモニア | 10 30 10 30  | 
   24 24 80 80  | 
   ◎ ◎ ◎ ◎  | 
   ◎ ◎ 〇 〇  | 
   ◎ ◎ 〇 〇  | 
  
| 苛性ソーダ | 10 50 10 50  | 
   24 24 100 100  | 
   ◎ ◎ ◎ 〇  | 
   ◎ ◎ ◎ 〇  | 
   ◎ ― ◎ ◎  | 
  
| 炭酸ソーダ | 10 30 10 30  | 
   24 24 100 100  | 
   ◎ ― ◎ ◎  | 
   ◎ ― ◎ ◎  | 
   ◎ ― ◎ ◎  | 
  
| 硫化水素 | 乾燥ガス 湿潤ガス  | 
   24 24  | 
   ◎ ◎  | 
   △ 〇  | 
   ◎ 〇  | 
  
| 塩素 | 乾燥ガス 湿潤ガス 乾燥ガス 湿潤ガス  | 
   24 24 100 90  | 
   × ◎ ― ◎  | 
   ― ― ◎ ―  | 
   ◎ △ 〇 △  | 
  
| 亜硫酸ガス | 乾燥ガス 湿潤ガス  | 
   30~60 30~90  | 
   ◎ ◎  | 
   ― ―  | 
   ― ―  | 
  
| 海水 | 高速流 静止水  | 
   24 100  | 
   ◎ ◎*  | 
   ― ―  | 
   ― ◎  | 
  
| 酢酸 | 10 60 10 60  | 
   24 24 100 100  | 
   ◎ ◎ ◎ ◎  | 
   ◎ ◎ ◎ 〇  | 
   ◎ ◎ ◎ ◎  | 
  
| 蟻酸 | 10 50 10 50  | 
   24 24 100 100  | 
   〇 〇 〇 ×  | 
   〇 〇 × ×  | 
   ◎ ◎ ◎ ◎  | 
  
| 乳酸 | 10 50 10 50  | 
   24 24 100 100  | 
   ◎ ◎ ◎ ◎  | 
   〇 〇 〇 ×  | 
   〇 ◎ 〇 〇  | 
  
| 蓚酸 | 10 20 50 10 50  | 
   24 52 24 100 100  | 
   〇 × ― ― ―  | 
   〇 ― 〇 ― ×  | 
   〇 〇 〇 〇 〇  | 
  
| クエン酸 | 10 50 10 50  | 
   24 24 100 100  | 
   ◎ ◎ ◎ ×  | 
   〇 〇 〇 ×  | 
   ◎ ◎ ◎ ◎  | 
  
注)*は孔食その他の局部腐食を起す場合があります。
記号の説明
◎:<0.127mm/year
〇:0.127~0.508mm/year
△:0.508~1.27mm/year
×:>1.27mm/year
純チタン2種(鋸切断) 板材 (厚 10~40mm)
純チタン2種(シャーリング切断) 板材 (厚 0.8~8mm)
純チタン H 4600
国内で、最も一般的に用いられている種類の材料であり、一般的に「純チタン」と呼ばれています。
「純」チタンとは言いますが、正確には、O,N,C,Fe,Hといった不純物を少量含んでいます。
つまり「純度の高いチタン」ということです。
JIS規格では、純チタン1種、2種、3種、4種と分けられますが、その違いは、O,Feの含有量によって区別され、
1種は純チタンの中で最もO,Feの含有量が少なく、最もやわらかい純チタンとなります。
一方4種はO.Feの含有量を高め純チタンの中では最も固い純チタンになります。
1種から4種まで規格では定められてはいますが、国内で最も一般的なものは、強度と加工性のバランスが優れた純チタン2種材です。
弊社でもプレス加工用の純チタン板材で1種材を使用することはありますが、殆ど2種材を使用しています。

